「クィア・アイ」を是非見て欲しい~自己肯定への道しるべ

Queer Eye

Netflixで絶賛配信中の「クィア・アイ」という番組をご存じですか?

それぞれ専門知識を持つ5人のチーム「ファブ5」が、悩める方の悩みを解決する番組。
自分の生き方や外見にまったく自信がない私は、この番組に登場する悩める方たちに毎回共感し、全てを優しく受け入れ、ある一点を除いて決して否定をしないファブ5の言葉に涙腺崩壊しています。

誰だって自分を肯定していいんだ、私もその一人なんだ。

人生をやり直したい方、自分に自信を持てない方、長年の束縛を断ち切り新しい旅立ちをしたい方。

この番組に出会えたから自分は少しずつ変わっている。そしてそんな自分の心の変化を同じように苦しんでいる方たちに伝えたい、クィア・アイはこのブログの原点です。

番組の概要

クィア・アイはNetflixで配信されています。執筆時点でシーズン7まで見られます。

エミー賞(アメリカで放送される優れたテレビドラマや番組に与えられる賞)を4回受賞した人気リアリティ番組で、2003年から2007年に全米で放送されていた番組を、Netflixがオリジナル作品としてリブートし2018年から配信しているようです。

この番組の主人公は「悩める人」です。
自分に自信が持てない、他人のことには一生けん命なのに自分のことは無頓着。

そんな主人公を家族だったり友人だったり職場の同僚だったりが「ファブ5」に推薦するのです。

ファブ5の面々は持ち前の明るさととてつもない包容力で「悩める主人公」の心をどんどん開いていきます。
衣食住・容姿といった大雑把に言えば「外側」の変化だけでなく、「心の内側」にまで変化をもたらすその行程は必見です。

キャスト

画像左から紹介していきます。

ボビー・バーグ(インテリア担当)

クィア・アイに出てくる「悩める主人公」達の家は大概汚かったりちぐはぐだったりします。
これって心の状態から来るものなのかもしれません。
ゴミ屋敷とまではいかないにしても、掃除が行き届いていなかったり昔の思い出を引きずったままだったり、自分で手掛けたリフォームをやりっぱなしだったり、なかなか個性ある(あまり良くない意味で)家だったり部屋だったりが多いです。

リフォーム番組は一時期、日本でも流行りましたがボビーは主人公にとって最も大切な事をちゃんと理解してリフォームを手掛けます。

会話の中で出てきたたった一言、例えばその人の家訓だったり、ここが最も落ち着くスペースなんだ・・・、なんて言葉を聞き逃さず、細かい配慮と優しさに溢れたリフォームを手掛けます。

クィアアイを見たことがある方はきっと誰しもこう思うでしょう。

ボビー、私の家もお願い!

カラモ・ブラウン(カルチャー担当)

カルチャー担当?ん?日本人の感覚ではすんなり理解しづらいかもしれません。

シーズン4の「ひとまず恩返し」という邦題の回(ジョナサンの母校の先生が主人公)で、学生たちにカラモがこう言っています。

カラモ:Culture is just really about shared attitudes,shared emotions,values that make us who we are.

日本語字幕は「人が共有する態度や感情や価値観、それが文化」

DeepLで翻訳すると

「文化とは、私たちを私たちたらしめている共有の態度、共有の感情、共有の価値観のことである。」

となります。どうもすんなり入ってきませんが・・・・・・私の理解力が足りないのでしょう。

NewiumによるPixabayからの画像

カラモが向き合うのは心を頑なに閉ざした人のトリガーや、本人も自覚をしていない心の奥底です。カラモと二人きりで話をしていて突然主人公が言葉を詰まらせる事があります。そんな時、カラモは常に適切な行動で主人公の心を開いています。

言葉をかけることもあれば無言でただ肩を優しくさすってあげることもあります。決して急かさず強要せず、自分の心の内を自分の口で語ってくれるのを待っています。

いつも思うのはだれしも自分で何とかしたい、変わりたいと思っているのに後一歩が踏み出せないんだなぁってことです。逆にいえば、自分自身が何とかしたい、変わりたいと思えなければ何も始まらないんだとも言えます。ここはすごく大切なポイントだと思います。

私の中では、カラモはカルチャーというよりメンタル担当と考えたほうがしっくりきます。

アントニ・ポロウスキ(フード担当)

クィアアイを見始めた頃、料理の改善って必要かな?と思って見てました。

料理のメニューをひとつ教えてあげたところで毎日それを作って食べる訳じゃないし(笑)自分がわりと料理に抵抗がないのでそんな目でしか見られなかったのだと思います。

独りで食べることに孤独や悲しさを感じないので、週末に人を招いた時のためのレシピとか、月に一回家族を招いて、とかまったく自分に当てはまらないし、なんて曇った目で見ていました。

番組を見続けてアントニの言葉を聞くうちに、料理の内容や一つのレシピを作れるようになることではなく、料理をする行為、料理をしたいというその気持ち、一緒に料理をする時間や食卓を囲む時間こそが大切なんだろうなって事はわかってきました。

いずれにしても料理ができる人ってかっこいいという気持ちは以前から持っていました。どうせ食べるなら美味しく食べたいですしね。

料理はこれから私が力を入れていきたい事の一つです。

ジョナサン・ヴァン・ネス(美容担当)

Wilfried PohnkeによるPixabayからの画像

最も癖が強い(と私が思ってる)ジョナサンは正直一番苦手でした(笑)が、今ではファブ5の中で一番好きなキャラクターになりました。

私も多くの主人公たちと同様に自分の容姿に自信がなく、今でも散髪にいくと鏡に写る自分を見られず、散髪が終わるまでずっと目を閉じていたりします。容姿のことでイジメにもあいましたし、それは何十年経っても鮮明に思い出すしんどい記憶。

ジョナサン自身、幼少期からいじめられることも多かったそうで、「何年にもわたる批判、嘲笑、トラウマに耐えた」と語っています。

シーズン4でジョナサンの母校の一人の音楽教師が主人公で登場する回があります。
その中でジョナサンはその先生にこんな事を言います。

あなたは周りの人に絶えず元気を与えてきた。多くの人の人生を変えた。とても・・・来るのを楽しみにしてた。(感情が高ぶって泣いてしまっています)でも緊張していた。その・・・何て言うか・・・クインシーを離れてから胸の中に特有の痛みが残ってる・・・高校生活は貴重な体験だったけどツラかった。でもあなたは私みたいな子を何も変わらずに他の子と同じように扱ってくれた。LGBTの人間は痛いほど自分を普通に感じたい。あなたがしてくれたように普通に扱われたい。今週、心の傷が癒された感じがする。(クィア・アイは一人の主人公を一週間かけてサポートし変化させる番組)本当に感動したの。あなたのおかげよ。私を含めて大勢の人を救っている。心からそう思う。

いつもはおちゃらけたりふざけたりするムードメーカーのジョナサンが、真剣な顔で涙を流しながら話すこのシーン。いじめに対してユーモアで対処していたというジョナサンの思いがけない心の声に心打たれました。

美容師の資格があるジョナサンは自らヘアカット、ヘアカラーからスキンケアの伝授までしてくれます。長年、髪にコンプレックスを持ち帽子を欠かせない人が、カメラの前で帽子を取ることができるのは、ジョナサンの優しく真剣な眼差しに心を開いたから。

「あなたの素を見せてくれてありがとう」こんな言葉がスッと出てくるところもジョナサンの素敵なところです。

タン・フランス(ファッション担当)

この記事を書いているときに絶妙のタイミングでラジオからこんな話が聞こえてきました。最近お腹周りが気になってきたという男性パーソナリティーに、○○アドバイザーみたいな女性が、

ワンサイズ、ツーサイズ大きい服を着れば身体の欠点は隠れますよ~

とアドバイスをしていました。思わず「いやいや違うだろ」とラジオの前で突っ込んだ私。

タンが毎回言ってることなんですが、身体のラインに自信がない人たちはたいてい大きなサイズの服を着て隠してるんですね。かくいう私もそのひとり。

これは私も実感したことなので自信を持って言えるのですが、身体に合ったサイズを着ることで本当に印象が変わります。もちろん大きなサイズをわざとチョイスするファッションもあるかと思います、ダブダブのズボンとか、わざとだらしない着こなしをするとか(この辺、疎いので語彙力無しです・・・)、自分が意識をして選んでいるのならそれはそれでいいと思います。

ただ、普段と違う服装にチャレンジしてみてもいいかなぁと思います。
私は黒や茶色ばかり選んで着ていましたが、思い切って赤い靴とか履いてみたら意外に似合ったし周りの評判も良かったです(笑)

「おじさんが若作りして痛いw」とか言ってる若者の嘲笑をネットでも良く目にしますけど、

いちいち人のファッション見て馬鹿にすんな、うるせぇよ、暇なのか?

と言いたい。

タンは主人公がため込んだ、年齢やその人の社会的立場にまるで合っていない服やブカブカの服を容赦なく床にぶん投げていきます(笑)私もその調子で押し入れの服を時々選別してリサイクルに出したり、処分したりするようになりましたが、思いのほか気持ちがスッキリするものです。

「若作りがダメ」と言っているわけではありません。年齢とか体型に言及せず、今のその人の気持ちや社会的立場、家族としての立ち位置などに着目します。そして必ず主人公の気持ちを聞き出して寄り添います。

例えば、ある団体の代表を務める方が周りのメンバーと同じような普段着で、資金集めのパーティーを開く・・・なんて時に、「私に能力がないと見られる、若いから軽視される」と主人公の本音を聞き出して、代表にふさわしくパーティーで堂々と自信を持ってスピーチが出来る、そんなファッションを提案したりします。

そんな特別なシチュエーションじゃなくても、腰周りが気になるならレイヤーでカバーしたり、ヒールで足をスラリと見せたり・・・肩のラインをきっちり合わせたり、自分に合ったサイズをチョイスしたりなどなど、身体のことを決して否定せずにアドバイスをしてくれます。

そしてどんな時でも「もっとアピールするべき!」と一緒になって新しいスタイルを喜んでくれます。

クィア・アイを見て自分に自信が持てる理由


ファブ5の皆は「セクシー!」(これ、日本語のこの言葉の感覚とは明らかに違うニュアンスですよ)とか「ゴージャス!!」と、主人公が自分の身体に自信を持てる言葉を連発します。

それは決して嫌味ではなく、表情を見ていても心から嬉しそうに楽しそうにリスペクトすら見え隠れする言動です。

日本のバラエティー番組で時々、容姿を馬鹿にして笑いをとる芸人や構成がありますが本当にくだらないと思います。日本人のそういう「ルッキズム」(人間を外見のみで判断し、その容姿を理由に差別的な言動や態度を行うこと)を平然とメディアで流すところを、外見でイジメに合って今でも引きずってしまう私は吐き気がするほど嫌悪しています。

これはファブ5全員に言えることなんですが、決して否定しないんですね、主人公がどんなに容姿に自信がなくても。どんなに生き方に悩んでいても。

とにかくひたすらその人のありのままの姿を受け入れて誉めちぎってくれます。

私は人を喜ばせること、それが自分の悦びでした。
人の目、人の反応で自分が成り立っていました。

思えば物心ついた時からそうだった。

勉強を頑張って親から褒めてもらう。
学校で先生や皆に「すげぇ」とほめてもらう。
それが私の成り立ちでした。

自分の事を投げ打ってまで人を喜ばせようとしている。
自分のどす黒い感情は押し殺して。

でも、彼らならきっとこう言います。

あなたはもっと自分のために生きていい

これから自分のために生きられる。たくさんのやりたいこと、夢が待っている。
こんなに幸せなことってあります?最高です。

記事の冒頭で書いた、ただ一点、ファブ5が主人公を怒る?ことと言うのは

自分のことを卑下したり否定した時。

みんなで寄ってたかって怒られます(笑)

ほんと、素敵な5人です!

NoName_13によるPixabayからの画像

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