3年ルールについて調べてみてもややこしくて私の頭ではなかなか理解できない…。と前の記事で書きました。
その理由は、派遣社員目線で説明されている情報が見当たらないからでした。
この記事では派遣社員の私目線で見た3年ルールについてまとめてあります。
派遣社員にとっての3年ルールとは?
まず、色々調べてみて単純に疑問に思ったことを流行りのAIで聞いてみました。
今回使ってみたのはMicrosoft社のBingです。
Bingに、3年ルールについて色々聞いた結果、私が疑問に思ったのはこのことでした。
「それって、派遣社員にとっては不利じゃないですか?三年間経ったらまた職探しを余儀なくされるということでは?」
Bingの回答はこうでした。
はい、その通りです。三年ルールは、派遣社員の雇用の安定とキャリアアップを図ることを目的としたルールですが、派遣社員にとっては、3年ごとに職探しを余儀なくされるというデメリットがあります。
ええっ?やっぱり(笑)
3年ルールの建前
改めて三年ルールとは何かを簡単にまとめると、
派遣社員が同一事業所の同一部署で就業できる期間を3年までと定めた
ルールです。
ルール、ルールと言っていますが慣習とかではなく、労働者派遣法の改正により2012年4月1日から施行されました。
このルールの目的が、
派遣社員の雇用の安定とキャリアアップを図ること
と言われているのですが、三年間という制限をつけられることが、何故この「目的」と結びつくのか、まずそこが理解できませんでした。
三年間の制限が雇用の安定にどうつながるのか
私が真っ先に考えたのは、
「必ずしも正社員や契約社員として再契約してもらえる確約ではないし、三年という期限が切られたことで、期限付きで契約終了が確定したとも言えるのでは?」
ということです。
それなら派遣社員のままで三年以上働けた方が失業や新たな職探しをしなくていいので、派遣社員にとっては生活が安定すると思うのですが。
誰にとっての安定なのか?
3年ルールがあることで、同じ事業所の同じ部署で3年以上働くことができない
→派遣先企業は派遣社員を正社員や契約社員として雇用する努力をする必要がある
→派遣社員にとって正社員登用の機会が増える可能性がある
これって、雇用の安定でしょうか?
「派遣先企業が努力をする必要がある」とか、「正社員登用の機会が増える可能性がある」とか派遣社員本人にとっては、あまりにも曖昧で外的要因に委ねるしかないのでは?と思ってしまいます。
一方で、派遣先企業だけではなく派遣元企業(私達派遣社員が登録している派遣会社)は、派遣社員が3年を超えても同じ職場で働きたい場合は、派遣社員との契約を無期雇用派遣社員に切り替える努力をする必要があります。
3年ルールの抜け道
無期雇用派遣社員という選択
派遣には、「登録型派遣」と「常用雇用型派遣」があります。ややこしくなってきました。
私が今働いている働き方は「登録型派遣」の方です。
派遣会社に登録し、派遣先が決まったら派遣会社と雇用契約を結んで紹介された派遣先企業で働き、派遣期間が終了したら派遣会社との契約も終了です。当然、次の派遣先が見つかるまでは無職状態で収入はありません。
「常用雇用型派遣」は、簡単にいうと派遣会社の社員として働くということみたいです。
と言っても、派遣会社の中で働くわけではなく、派遣先企業に派遣されて働きます。派遣先が見つからない場合でも給与は出ますし、派遣会社の中で待機や勤務を行うこともあるようです。
「登録型派遣」だと、雇用契約は「派遣先が決まってから派遣期間が終るまで」の限定された期間ですが、「常用雇用型派遣」の雇用契約は派遣会社(派遣元)と交わすので、派遣期間が終了しても契約は切れないし、派遣先企業での就業期間(3年ルール)の制限を受けないというなんだか抜け道的なシステムです。なんでこんなややこしいことを。
なので3年ルールを回避するには、派遣元企業と派遣社員が「無期雇用派遣社員」(=常用雇用型派遣)の契約を結べば回避できますし、その努力を派遣元企業はする必要がある。と言うことになります。
ただし、派遣社員側にも「努力をする必要」があり、登録型派遣として働きながら労働契約が更新されて通算5年を超えた場合は、派遣社員からの申し込みによって無期雇用派遣に転換してもらえるようですすが、それには「採用試験(派遣元の)」(書類選考や、面接など)なるものもクリアしないといけないようです。
これは素直に派遣社員にとっては「雇用の安定」になるかと思います。
だって「無期雇用」なんですから。職を失ったり、職探しの期間の無収入を心配する必要はありません。
部署を変えて契約更新する
派遣先企業では、同一事業所の別の部署や課での就業であれば、新たに3年間の上限まで派遣社員を受け入れることができます。
これは暗黙の了解のようでもう当たり前のように色んなところで書かれています。
派遣法では、部署の定義について明確な基準を示していません。そのため、派遣先企業が部署を細分化したり、名称を変更したりして、派遣社員を三年以上働かせることを可能にすることがあります。
でも考えてみると部署が変わるということは当然業務内容も変わるわけですから、また一から覚え直さないといけないことも出てきます。
せっかく3年間続けてきた仕事内容が白紙に戻る、とまではいかないにしてもどうも派遣先にも派遣社員にもメリットはないように思えるのですが皆さんはどう思われますか?
派遣先で部署名を変更したり細分化したりして、あたかも違う部署として契約をすればそこからまた3年間働くことができる・・・・・・なんて、こんなザルなやり方でいいんでしょうか?
60歳以上の方は無敵状態に?
60歳以上の派遣社員の方は、3年ルールの期間制限の対象外です。
同じ派遣先の同じ部署であっても、3年を超えて継続して派遣社員として働くことができます。
3年間の間に60歳になればオッケーで、例えば58歳で新しい派遣先で働き始めると3年後には61歳になります。この場合は3年を超えて働けるという期間制限対象外に該当します。
他にも同一プロジェクトに関わっている場合とか、いくつか細かいルール適用外はあるようですが、基本的には上の3つが適用外です。
努力義務という曖昧さが気になる
確かに、正社員や無期雇用派遣社員へのチャンスがあるということは派遣社員にとってメリットですよね。
でも、
自分が一生懸命働いてスキルも磨いて、最終的に試験をパスできたら必ず正社員や常用雇用型派遣への道が約束される
と言うのなら頑張りようもありますが、そこに「(派遣先や派遣元が)努力をする必要がある」なんて曖昧な、自分以外の要因が入ってくると途端に楽観視はできなくなります。
努力義務とは、あくまでも結果を保証するものではなく、可能な限りの行動をとることを求めるものです。したがって、派遣先企業や派遣元企業が努力義務を果たしていないと判断された場合でも、特段の罰則はありません。
ちなみに、3年ルールを破った場合は労働者派遣法違反にあたり30万円以下の罰金という罰則規定が科されることになります
中高年派遣社員目線での私の結論
どうもこの3年ルールというのは、中高年派遣社員としてメリットがあるとは思えません。
もっと若い方でしたら、長年同じ部署で派遣社員として働き続けるよりも、3年ごとに違う派遣先で働くことで自分のスキルアップに繋がったり、正社員へのチャンスも巡ってくるので良いルールだと思います。
年齢や能力で自分に制限を設けるのは悔しいですが、現実的に考えるとやっぱり定年近い年齢の中高年よりも若い方の方が選択肢も多いですし開かれる道も門戸が広いですよね。
逆にそうでないと若い方のモチベーションも上がらないでしょうし、「長年働けば、いつか正社員登用させてもらえるのではないか?」という気持ちを原則3年以上持つ必要がないため、精神的負担も軽くて済むのかもしれません。
しかし私が何より避けたいのは無職期間の恐怖です。
中高年の身としては、せっかくありつけた派遣先の仕事を出来るだけ長く続けたいと思うのです。
ここで唯一、中高年にとって3年ルールがメリットだなと思えるのは(前向きに考えてのことですが)、
最長3年という契約期間が決まっているので、逆算しやすいということです。
つまり、有期雇用契約社員として3年間働けば、別の雇用形態(無期社員、契約社員など)で働かせてもらえるか、よくも悪くも結論が出るということです。
また契約更新のタイミングで自分のキャリアプランを否が応でも見直すことになりますし、3年という期限があることで、次のステップに向けて準備する時間が確保できます。
* 3年を目途に、スキルアップやキャリアアップの目標を立て、その目標を達成するために必要な努力をする
* 派遣先企業での人間関係を築き、評価されるように努める
* 複数の派遣会社に登録し、複数の派遣先から仕事の依頼を受けられるようにする
と言った準備を3年間の内にしっかりとしておける、しておかねばならないと言うことです。
2021年に改正された労働者派遣法
最後によく見かける紛らわしい記事で、労働者派遣法の改正により2012年4月1日から施行された、とか2021年にまた改正されたことと、3年ルールを絡ませて「3年ルールは改正により撤廃された」と書かれているものを良く見かけます。
これが私が混乱していたことの一因でもあります。
こちらを見て頂ければわかると思いますが、
今回まとめた記事の通り、
派遣社員が同一事業所の同一部署で就業できる期間を3年まで
が正しい情報なのでくれぐれもお間違えの無いよう。
3年間でまた無職期間が発生することがないように、私も日々精進しなければと気持ちを引き締めています。
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